細胞外小胞(EV)の細胞内動態と内包物放出

細胞から分泌される膜小胞である細胞外小胞(extracellular vesicles, EVs)は、しばしばエクソソームなどとも呼ばれますが、ある細胞から分泌され別の細胞に取り込まれることで細胞間の情報伝達に関与していると考えられています。しかしながら、EVがどのように細胞内に取り込まれ、どのようなメカニズムで内包物を放出しているのかはほとんど分かっていません。そこで、EVの細胞内動態、特に膜融合や細胞質への内包物放出を定量的に解析する手法を開発しています。 これまでに、生物発光を利用してEVタンパク質の細胞質への放出を生細胞でリアルタイムに解析できる実験系を開発しました。また、EVがエンドソーム膜と融合する効率をレポーターアッセイで簡便に測定する実験系を開発し、プレプリントで公開しています。 なお、EVの細胞内動態の解析に使えるプラスミドはAddgeneから入手可能です。発光を測定する機器さえあれば、だれでも使用可能な系だと思います。

Reference

  1. M. Somiya, “Where does the cargo go?: Solutions to provide experimental support for the ‘extracellular vesicle cargo transfer hypothesis,’” Journal of Cell Communication and Signaling, vol. 14, no. 2, pp. 135–146, Jun. 2020, doi: 10.1007/s12079-020-00552-9.
  2. M. Somiya and S. Kuroda, “Real-Time Luminescence Assay for Cytoplasmic Cargo Delivery of Extracellular Vesicles,” Anal. Chem., vol. 93, no. 13, pp. 5612–5620, Apr. 2021, doi: 10.1021/acs.analchem.1c00339.
  3. M. Somiya and S. Kuroda, “Reporter gene assay for membrane fusion of extracellular vesicles,” J. Extracel. Vesicle, e12171, Nov. 2021, doi: 10.1002/jev2.12171.
  4. M. Somiya and S. Kuroda, “Verification of extracellular vesicle-mediated functional mRNA delivery via RNA editing", bioRxiv, Jan. 2022, doi: 10.1101/2022.01.25.477620.
曽宮 正晴
曽宮 正晴
准教授

タンパク質デザインを応用した細胞内への薬物送達(特にタンパク質やRNA)や、ナノ粒子と生体システムとの相互作用に興味を持っています。

関連項目